遺伝子の使命 ロイス・マクマスター・ビジョルド

 マイルズシリーズの国内最新刊。顔を失った美貌のエリ・クインが活躍する。と言っても、原題が「アトスのイーサン」なので主人公ではないのだ。このおねいさん、なにか飄々としていて好きなんだよな。まあ、プラズマで一度顔を失っているわけで、死から帰還したようなもんだから、そういう設定になるのかもしれないけど。
 それに対して、主人公なるアトスのイーサンはヘタレまくりのお坊ちゃま。ただ、なんとなくことが上手く進むのはご都合主義じゃなくてマイルズと重ねて対比しているのか。もっとも、マイルズはエリの提督として神格化されて出てくるだけなのだが。
 多分、上っ面を読んだだけじゃこの物語の味は出てこなさそう。何度か読んで見ると、裏に隠された意味や比喩が炙り出されてきそうな感じがする。まさか、もう一度マイルズシリーズを引っ張り出してこなきゃ駄目?