飛べ!ミネルバ!

ミネルバ自体は本来の実験ではないんだよね。分離できたこと自体が成功だし、信号を送りつづけていることも成功と言っていい。イトカワの表面への投入は適わなかったのは残念だけど。本来は下降動作中での分離をもくろんでいたのが、自律航行での上昇動作中に分離してしまったらしい。つまり、はやぶさは高度維持のために上昇下降の捜査を「自分で」判断している自律航行をしているのだが、下がりすぎた為に上昇していた。ところが、ミネルバ分離は「飛べ!」という信号を地球から受けて分離する。それははやぶさ自体の上昇下降モードには関係なく実施される。だから、上昇方向のベクトルのまま分離してしまったのだ。その辺の条件付けについての設計は知りえないが、次にはうまくいくさ。
結局こういうことなのだ。どれだけ進んだコンピューターで考えられるだけの条件を突っ込んでシミュレーションしようとも、実機を飛ばしてみなければ問題は解決できない。自動車だって何台もの試作車をテストコースを走らせてデータを取る。それでも製造上の問題でリコールがでるのだ。もちろん量産車と探査機を比べるのは乱暴だけどね。ただ、このはやぶさは「試験機」なのだ。つまり悪さ具合を引き出すのも仕事のうちなので、なにやっても失敗ではないのだ。思い知ったか文系記者ども。

まあ、とにかくこれを見ろ。涙が出る。
「はやぶさリンク」:ミネルヴァが撮影したはやぶさ: 松浦晋也のL/D